追試の駄文置き場

あなたのお気に入りの文章が、きっと見つからない。

何もない部屋で

沈黙とつり合う言葉を探してきっとどこにもいかずに、どこにでもいる 書きたいことはもうないのにまだ言葉を探している文章で飯を食べたいからありもしない空白に物語を見いだすのはもうたくさんだただ静かな命でありたい、魂と共に 何もない部屋で待ち続け…

嘘日記9:あしたはあたし

そんなに懐かしい気持ちにならないでよいのに 歩いていて きっとそうだったんじゃないかと 慣れない バスケットボールのドリブルのよう 記憶は跳ねる 転がって 思いもよらぬ方へと 自分の人生を生きるのはなかなか大変なことだ 「宇宙のことなんて かんがえ…

嘘日記8:

走り続けて、振り返ったら後ろに誰もいなかった。あれ、と思った途端に自分はどこへ向かっていたのかを忘れてしまった。 とりあえずベローチェの看板を見つけたので近づいてみると臨時休業だった。ガラス越しに見える店内の奥の方の席に誰かが座っているのが…

嘘日記:7:運が良い奴が呪いを身に受けるとは思えんがな

しろがねの城を尋ねるのは初めてのことだったから、呪いを身に宿した人物は入場にあたって占師の許可を得る必要があることを僕は知らなかった。 「占師は城下町を抜けた谷底にいる、運が良ければ会えるだろう」門番は鬱陶しそうな表情で言う。「運が良い奴が…

嘘日記6:穢れ

21XX年、ついに国内で完全試験管ベビーとして生まれた人の人口が、自然妊娠で生まれた人の数を超えた。 喫茶店のテレビモニタでは、その記念すべき日に試験管ベビーを授かった黒人夫婦が嬉しそうにインタビューに応えている様子を映していた。 「自然妊娠と…

嘘日記5:どうしようもなくはない私が寝ころんでいる

また今日もお酒を飲んでしまった。 種田山頭火みたいに野放図に生きてみたい自分と、サラリーマンとして日々を安らかに繰り返している自分とが同居している。 どうしようもなくはない私が寝ころんでいる。

嘘日記4:あの洪水は私に、私が想像できなかった世界があるんだと教えにきてくれたんだ。

今日は昼過ぎまで寝て、干し芋を食べてみたい気持ちになったので西友に買いに行って3パックも食べた。 昼寝してから、散歩しようかなと思って下北沢の方へ向かって歩くことにした。14時だけれど日はだいぶ傾いていて、けれど陽のあたたかさは失われていな…

嘘日記3:みみずが水を飲んでいる。

朝から雨だった。 散歩にでも行こうかなと思ったけれど雨がはらはらと降りやまないので1日家にいることにした。 みみずが水を飲んでいる。 すっかり寒くなってきたのを水道水で知る。 昨日、また職場のみんなとお酒を飲んで塩辛いものばかり食べたせいか、体…

嘘日記2:私はこんなところにいる人間じゃない

今日は早く帰ろうかなと思ったけれど、同僚のみんなとなんとなく酒を飲む流れになってハイボールをちびちび飲んだ。 3杯目くらいで酔いが回ってきたころ、オフィスの窓から視線を感じたので振り返ると大きななめくじが窓の外からこちらをじっと見つめていた…

嘘日記1:恋愛っていうのは初回限定の100連ガチャみたいなものだよ

昨日の夜からどうしても野菜が食べたくなって、今日は桜新町のシズラーまで歩いて行った。 夏が終わって涼しい風が吹いていて、久しぶりに長く歩いたけれどあまり汗も出なかった。そういえば自分は歩くのが好きだったなぁと思い出した。 途中で、軽トラック…

ねむれないねこ

https://docs.google.com/presentation/d/e/2PACX-1vQFs4byuLrLwGHTZ4cAmMco58-t-gT4H63qMnOePdxhjcJcB3_9VbWb-DtE9ec3jeC4fFNqpLpRJ2ce/pub?start=true&loop=false&delayms=5000&slide=id.p

私が今からお話しすることを、貴方はもしかしたら信じないかもしれません。事実、私は外から鍵のかかった病院で薬を待つだけの生活をしていた訳ですし、桃も自分で剥いて食べられません。ですが、私にはちゃんと一人分の人権がありますから、たくさんのニン…

もしも童話「おおきなカブ」がITのデスマプロジェクトだったら【完全版】

渋谷の雑居ビル。 ホワイトボード前に置かれたパイプ椅子にイヌ、ネコ、ネズミが一触即発の雰囲気で座っている。 扉が開き、慌てた様子の青年が入ってくる。 孫「お疲れ様です、すいませ――」 ネズミ「遅えよッ!!」 ネコ「!!」 イヌ「……ネズミさん、怒鳴…

もしも桃太郎一行がITのスタートアップだったら(完全版)

恵比寿駅の喫茶店。イヌ、サル、キジが張り詰めた空気でテーブルに同席している。 喫茶店のドアを開けて、桃太郎が入ってくる。 桃太郎「おつかれーっす」 イヌ、サル、キジ「……っす」 桃太郎「ごめんごめん、遅くなっちゃったわ。いやね、きのう金太郎と浦…